このところ、東日本大震災の被災地で、不動産の取引価格が上昇しているという報道が目につきます。
浸水を免れた高台の土地をはじめ、中古マンションまでもが高騰。震災前と比べて、一気に2割から3割跳ね上がったというケースも少なくないようです。
復興には高台移転が避けられないとの見方から、近い将来の需要増を見越して、不動産業者による投機的な土地の購入が増えており、一部では取り合いになっているともいわれています。
需要と供給の先を読んでいくのは、ある意味不動産業者にとって自然なこと。
ただ、国や地方自治体の復興策が固まらない中で、こうした動きがさらに活発化してくれば、被災地再建の大きな障害になりかねません…
すでに国土交通省は、東日本大震災の被災地にあたる岩手、宮城、福島の3県の土地取引の実態調査に乗り出していますが、こうした不動産取引を全て把握し、完全に縛っていくのは無理でしょう。
被災者と不動産業者が、同じ立場で意識を共有するということができないのは仕方ありませんが、過度な不動産価格の上昇は、お互いにとってよいものにはならないはずです。